モーツワルト「皇帝ティートの慈悲」
早春の庭.
クルレンツィスのモーツワルト「皇帝ティートの慈悲」をクラシカで放送されていましたが、パーセル「インドの女王」と同じくピーター・セラーズの演出によるもので、黒人歌手四人、女性歌手四人の構成になっていました。
ストーリーとやや異なるところがあって、宮殿が放火され、暗殺されていないはずの皇帝ティートが重体でベットに横たわっていて、その周りで皆が祈りを捧げて嘆き悲しんでいるシーン、葬儀のようにも見えますが?・・・
最後はベットに横たわったままセストやヴィッテリアを慈悲の心で全てを許し、ベットから転げ落ちてそのまま動かなくなって幕となりました。
実際の内容より過激な演出になっているようで、ベットに横たわるティートの周りに花やろうそくが掲げられ、皆が嘆き悲しんでいるシーンが印象的でした。
「皇帝ティートの慈悲」は以前もっとオーソドックスな演出のものを観たような気がして調べてみると、1991年グラインドボーンのもの、衣装が古代ローマのいでたちのところが気に入っています。ヴィッテリア役も美人でした。
他にも2005年チューリッヒでウェルザー・メスト指揮、ジョナサン・ミラーの現代風演出のもで、しかも皇帝ティートをヨナス・カウフマン、ヴィッテリアをエヴァ・メイと最高の布陣、特にティート役の若いヨナス・カウフマンがカッコよく、暗殺される役にはもったいないくらいでした。
以前「コシ・ファン・トッテ」でフェルランド役をやったミヒャエル・シャーデがティートをやっているのに興味があり、2003年アーノンクール指揮のものを購入したのですが、ヨナス・カウフマンほどカッコよくはいきませんでした。
結局、クルレンツィスの「皇帝ティートの慈悲」ということで期待したのにちょっと期待はずれでした。
鬼才クルレンツィス来日で沸き立っているはずなのに、なぜか気持ちが冷めてしまったのはどう言うわけなのでしょうか・・・?